「導入から3か月はうまくいっていたのに、期末を越えたら元に戻っていました」
導入直後は、入力率も高く、会議もSFAで進んでいた。ところが期末の忙しさで入力が後回しになり、推進役が異動し、「今回だけExcelで」が繰り返されるうちに、元のやり方に戻っていた。ダイエットで一番難しいのは、減らすことより、リバウンドしないことです。定着を続けるための3つの論点を整理します。
シリーズ「仕組みの定着と変革」3/3本目
測る:使われているかと、正しく使われているか
ジムに通い続けているかは、会員証の数ではなく、実際に来た回数でわかります。さらに、来ているだけでなく、運動しているかも見たいところです。
- 使われているか(量)
- 打ち合わせの当日中に更新された商談の割合、会議でSFAの画面が使われた回数
- 正しく使われているか(質)
- 必須項目の入力率、金額1円のようなダミー値の割合、次のアクションの記入率
- 判断が変わったか(活用)
- SFAの数字をもとに決めた打ち手の数
入力率は、評価には使わず、改善のための数字として使います。評価に使った瞬間に、中身のない入力が増えるからです。そして、定着の数字は管理者だけでなく現場にも返し、困っているチームを支援する材料にします。
揺り戻し:元に戻る道をふさぎ、例外を放置しない
- 忙しい時期
- 期末に入力を後回しにしたまま戻る。忙しい時期ほど、入力の手間を減らす手を打っておく
- 担当者の交代
- 推進役や管理職の異動で、使う理由がなくなる。人が替わるときの引き継ぎに、仕組みの使い方を入れる
- 例外の放置
- 「今回だけExcelで」が、いつの間にか標準になる。例外の数を数え、増えたら理由を聞く
- 古い道が残っている
- Excelの集計表が残っていれば、いつでも戻れる。廃止する日を決め、読み取り専用にする
ここで先に反論しておきます。「3か月使われていれば、もう定着したと考えていいのでは」と思うかもしれません。ですが、最初の期末や最初の人事異動を越えるまでは、まだ定着の途中です。手を離したあとも、定着の数字は見続けます。
変わり続ける:定着のゴールは、固定ではない
一度建てた家も、家族が増えれば部屋を足し、古くなれば直します。定着した仕組みも、事業や組織が変われば合わなくなります。一度決めたら変えない仕組みは、やがて現場がその外で仕事をし始めます。定着のゴールは固定することではなく、直しながら使い続けられる状態です。
データの品質を点検する
数字を見て、プロセスや指標の定義を1つ見直す
使われていない項目・レポート・ルールを棚卸しする
定義の変更をまとめて反映する
変更はまとめて、予告してから行います。毎週のように変わると、誰も最新のやり方を知らない状態になります。
自己診断
- 定着の度合いを、ログイン数以外で測っていますか?
- ログイン数だけなら、中身のない利用を見逃す
- 新しい仕組みを入れたあとも、古いやり方は残っていますか?
- 残っていれば、いつでも戻れる
- 推進役が異動したあと、使われ方は変わりませんでしたか?
- 変わったなら、人に依存した定着だった
- 仕組みを見直す場は、決まった周期でありますか?
- なければ、事業の変化に仕組みが置いていかれる
シリーズ:仕組みの定着と変革
- 1.基本編:定着とは何か、なぜ抵抗が起きるか
- 2.巻き込み編:推進役・仕事の流れ・支援
- 3.継続編:測る・揺り戻しに備える・変わり続ける(この記事)
6つのシリーズの全体像は仕組みの設計:6つの要素にまとめています。
問い
3か月前に導入した仕組みの、今週の使われ方を見てみてください。導入直後と比べて、増えているでしょうか、減っているでしょうか。減っているなら、それは失敗ではなく、直す場を回し始める合図です。