出口条件は、入力規則で止めるか、毎週数えるか
「提案に進めるのは、決裁者が分かってから」と決めた。守ってもらうために、SFAで決裁者の項目を必須にした。3か月後、決裁者の欄には「確認中」が並んでいる。決めごとを守らせるやり方は、入力の瞬間に止めるか、あとから数えて知らせるかの2つです。どちらが正しいかではなく、条件ごとに使い分けます。
2つのやり方
- 入力規則で止める
- 条件を満たさないとステージを進められないようにする。Salesforceなら入力規則やパスの必須項目、HubSpotならパイプラインのステージごとの必須プロパティ。守られなかった商談は、そもそも次のステージに入らない
- 毎週数える
- ステージは自由に進められるまま、週に1回、条件を満たさずに進んだ商談を数えて、決めごとの持ち主に知らせる。直すか、意図して外れたのか(理由つき)を選んで閉じてもらう
前者は門番、後者は点検です。門番は確実に止めますが、通り抜け方を覚えられると、何も見えなくなります。点検は止めませんが、どれだけ守られていないかが数字で残ります。
比べると
| 入力規則で止める | 毎週数える | |
|---|---|---|
| 止まるとき | ステージを進めようとした瞬間 | 週に1回、あとから |
| 守られ方の見え方 | いつも100%に見える | 実際に守られた割合が見える |
| 起きやすい壊れ方 | 「未確認」「-」などの値で通される。例外のたびに管理者へ依頼が集まる | 気づくのが最大1週間遅れる。知らせが続くと読まれなくなる |
| 向いている条件 | 空のまま進むと予測や請求が壊れ、入力する人がその場で事実を持っているもの | 判断が要るもの、例外がありうるもの、定義がまだ固まっていないもの |
| 変えるときの手間 | 設定の変更とテスト | 決めごとの台帳の1行を書き換える |
いちばん大きな違いは、2行目です。入力規則で止めると、記録の上では決めごとが必ず守られます。だからこそ、「確認中」で通された商談と、本当に決裁者が分かった商談の区別が、画面からは消えます。
選ぶための3つの問い
条件を1つずつ、次の順に問います。
- 1. 空のまま進むと、誰が何を失うか
- 予測に入る金額や、請求・契約に使う情報なら、入力規則で止める。空でも次の担当が困るだけなら、数える側でよい
- 2. 入力する人が、その場で事実を持っているか
- 持っていない条件を必須にすると、ダミーの値が入る。決裁者が分かるのは提案の後半、ということが多いなら、提案に入る瞬間には止めず、提案の途中で数える
- 3. 例外が月に何件あるか
- 代理店経由・既存顧客の追加購入など、条件が当てはまらない商談が毎月ある条件は、止めると例外の申請が管理者に集まる。数える側に置き、外れた理由を残してもらう
3つとも「止める」に当てはまった条件だけを入力規則にします。目安は、1つのステージで2つまでです。
組み合わせ方:止めた条件も、数える
ダミーの値まで見つけられるのは、止める条件を少数に絞ったうえで、止めた条件も毎週数えるやり方です。入力規則は「空かどうか」しか見られません。「確認中」で通されたかどうかは、あとから数えないと分かりません。
- 同じ値の並び
- 必須にした項目に「未確認」「-」「TBD」のような同じ値が並んでいる商談を数える
- 段の飛ばし
- 前の週から2段以上進んだ商談を数える(ヒアリングから見積へ、など)。出口条件を確かめる段が飛ばされた跡
- 予定日の動き
- 受注予定日を3回以上動かした商談を数える。出口条件を満たさずに進んだ商談ほど、予定日が動きやすい
もう1つ、入力規則では止められないズレがあります。人によって「決裁者」の意味が違う、というズレです。部長の名前を入れる人もいれば、窓口の名前を入れる人もいる。これは入力の問題ではなく言葉の問題なので、止めても数えても直りません。先に定義をそろえます。
SalesforceとHubSpotでの設定
- Salesforceで止める
- 入力規則で「ステージが変わったとき、かつ項目が空なら止める」と書く(例:ISCHANGED(StageName) と ISBLANK の組み合わせ)。パスの重要項目とガイダンスで、止めずに案内するだけにもできる
- HubSpotで止める
- 取引パイプラインの設定で、ステージごとに、そのステージへ進めるときに必須のプロパティを指定する。使える範囲はプランによって違うので、先に確かめる
- どちらでも数える
- 毎週、商談の状態を保存しておき(スナップショット)、条件を満たさずに進んだ商談と、上の3つの跡を数える。保存は始めた日より前には戻れないので、早く始めるほど比べられる期間が長くなる
毎週数える側は、手で集計すると続きません。KOTOFORIOの仕組みの台帳は、決めごとを1行ずつ置き、SFAで測れるものを毎週突き合わせて、ずれたときだけ知らせる道具です。 ステージと出口条件の決め方そのものは営業の業務プロセス設計にまとめています。
自己点検
- 必須にしている項目に、「確認中」「-」のような値が何件あるか、言えますか?
- 言えなければ、入力規則が守られているように見えているだけかもしれない
- 1つのステージで必須にしている条件は、2つ以内ですか?
- 多いほど、ダミーの値と例外の申請が増える
- 例外で条件を外した商談に、理由が残っていますか?
- 残っていなければ、例外と放置の区別がつかない
- 「決裁者」など条件の言葉の意味を、全員が同じ一文で言えますか?
- 言えなければ、止めても数えても直らない。先に定義をそろえる
よくある質問
- 全部を入力規則にすれば、数える手間はいらないのでは
- 記録の上では守られますが、ダミーの値で通された商談は、どこにも数として出てきません。止める条件を増やすほど、守られていない実態が見えなくなります
- 数えるだけで、守られるようになりますか
- 数えるだけでは変わりません。知らせを受けた人が「直す」か「意図して外れた(理由つき)」かを選んで閉じる決まりと、守った人に何かが返る形があって、はじめて守られるようになります
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