「優秀な人が辞めたら、同じ成果が出せる人がいなくなりました」
トップ営業の動きは、本人の勘と時間に依存している。外部に構築を任せたら、契約が終わると誰も直せない。人数が増えても、少人数のときの体制のまま。仕組みを続けるには、人が育つ道、外部との分担、規模に合った体制が要ります。
シリーズ「体制と評価の設計」3/3本目
スキルと育成:属人の勘を、型にする
料理の達人は、勘で作ると教えられません。レシピにすれば、初心者も作れます。営業も、属人の勘を型にして、新人が立ち上がる道をつくります。
- オンボーディング
- 入社から独り立ちまでの道筋を、段階とチェックで見える化する
- 型
- 質問・提案・断りへの対応を、事例とともに残す。上位者の判断の理由を言葉にする
- 練習
- ロールプレイ、同席、フィードバック
- ナレッジ
- 成功・失敗の事例を、探せる形で残す
研修をやって終わりにすると、現場に戻ると使われず、忘れられます。研修のあとに、現場での実践と振り返りを置きます。仕組みの使い方(入力のルールと意味)も、最初のオンボーディングに入れます。入れないと、ツールの使い方が自己流になり、入力がバラバラになります。
内製と外部:外部に任せても、持ち主は社内に置く
家の修理は、自分でやるか業者に頼むか選べますが、家の持ち主は自分です。何を直したかを知らなければ、次に困ります。
- 内製
- 変更が頻繁で、事業に深く関わるものに向く。採用と育成が必要
- 外部の継続支援
- 専門性が必要で、常勤は不要なものに向く。社内の持ち主を決める
- 外部への丸投げ
- 一時的な構築に限る。引き継ぎがないと、終了後に誰も直せない
打ち手は、判断は社内、実作業は外部と分けること、成果物に説明書と手順書を含めて契約の条件に入れること、外部の役割を期間と目的で区切り、社内へ移す範囲を決めておくことです。
体制の進化:規模が変わったら、体制も変える
子どもの服は、成長に合わせて買い替えます。組織も、規模が変わると必要な体制が変わります。
- 少人数
- 兼務で回る。持ち主は経営者や営業責任者。ルールは軽く
- 成長期
- 部署が分かれ、境目の問題が出る。専任の担当を置き、境目の合意を始める
- 拡大期
- 依頼が増える。専任のチームと、窓口・基準・棚卸し
- 成熟期
- 変更のコストが大きい。変更管理、教育の仕組み、監査
少人数のやり方のまま拡大すると、兼務が限界を超えて依頼が溜まります。反対に、早すぎる体制を作ると、人数が少ないのに重い手続きで動けなくなります。体制は、起きている問題から足し、増員のたびに見直します。
自己診断
- 新人が独り立ちするまでの道筋は、文書にありますか?
- なければ、育成が上位者の勘と時間に依存している
- 外部が作ったものを、社内で説明できる人はいますか?
- いなければ、契約が終わると止まる
- 外部との契約が終わったとき、何が止まりますか?
- 答えられなければ、持ち主が社内にいない
- 今の体制は、現在の人数・規模に合っていますか?
- 合っていなければ、依頼の溜まりや重い手続きが出ている
シリーズ:体制と評価の設計
- 1.基本編:オーナー・役割・優先順位・組織構造
- 2.評価編:目標・報酬・入力との連動
- 3.育成編:スキル・内製と外部・体制の進化(この記事)
問い
いちばん成果を出している人が、明日いなくなったとします。その人の動きを、ほかの誰かが再現できるでしょうか。できないなら、育成の最初の一歩は、その人の判断の理由を言葉にして残すことです。定着の進め方は定着と変革のシリーズにまとめています。
この記事は、営業の仕組みを8つの要素で整理したナレッジベースの一部です。全体像は仕組みの設計:8つの要素にまとめています。自社の状態は仕組みの自己診断(40問・登録不要)で確かめられます。