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「ルールは決めました。でも、守る人ほど損をする評価になっているんです」

引き継ぎのルールを決めても、評価は個人の受注額だけ。入力を義務にしても、会議はスプレッドシートで行われる。人は、ルールではなく、評価と報酬に従って動きます。仕組みが使われない原因は、ツールやルールではなく、評価の向きにあることが少なくありません。

シリーズ「体制と評価の設計」2/3本目 ・ 次:育成編

全体像:テストの点で決まるお小遣い

お小遣いがテストの点で決まれば、点を取る勉強をします。営業も、評価と報酬に沿った行動をとります。ここでは、営業活動の目標・評価・報酬を扱い、事業全体の予算や管理会計には踏み込みません。

目標:数字が行動を決める

結果の数字(遅行指標)
受注数・売上など。終わってからしかわからず、行動に直結しない
行動の数字(先行指標)
訪問数・架電数・提案数など。数をこなすことが目的化しやすい
質の数字
商談化率・受注率など。母数の取り方で変わる

数だけを目標にすると、質の低い架電やアポが増え、後工程が疲弊します。目標が多すぎると、評価に直結するものだけが追われます。上から降りてきた数字には納得がなく、数字を作る方向に動きます。目標は結果と先行の組み合わせにし、1人あたり3つ程度に絞り、現場と一緒に決めます。隣り合う部署の目標を並べて、矛盾がないかを確かめます。

報酬と評価:行動を最も強く変える

個人の受注額
自分の数字を優先する。案件の取り合い、引き継ぎの質の低下が起きやすい
期末の達成率
期末に集中する。値引きや前倒しの契約が起きやすい
チームの共通目標
協力する。ただし、自分では動かない人が出やすい
行動量の評価
数をこなす。質の低い活動の水増しが起きやすい

ここで先に反論しておきます。「報酬は成果に連動させれば、人は自然と正しく動く」と思うかもしれません。ですが、報酬は設計した向きにしか動かしません。個人の数字だけで評価すれば、引き継ぎや情報共有をしなくなります。

打ち手は、評価と報酬を決めた仕組みと同じ向きにすることです。たとえば引き継ぎの質を評価に入れます。報酬を設計する前に、「この報酬だと、何をするのが一番得か」を、悪意のある立場で考えます。個人の目標に、チームの目標の一部を組み合わせます。評価の変更は、理由とともに事前に伝えます。

入力との連動:記録されたことで評価し、会議をする

家計簿は、つけても誰も見ないと続きません。SFAの入力も、評価・報酬・日々の会議で使われなければ続きません。

入力されたものが使われる
会議・評価・報酬をSFAのデータで行う。別の資料を作らせない
入力した人が得をする
次の行動の通知、引き継ぎの自動化など
入力を義務にするだけ
形だけの入力が増え、質が落ちる

入力を評価する場合は、量ではなく、後工程での使われ方で見ます。入力の負担そのものも減らします(ツールの設定編の入力体験を参照)。

自己診断

今の報酬で「一番得をする行動」は何ですか? それは望む行動ですか?
違えば、仕組みよりも報酬が行動を決めている
ルールを守る人が、評価で損をしていませんか?
していれば、ルールは守られなくなる
隣の部署の目標と、自分たちの目標は、同じ方向を向いていますか?
矛盾していれば、境目で押し付け合いが起きる
営業会議は、SFAの画面で行われていますか?
別の資料を作っていれば、SFAの入力は報告のためだけになる

シリーズ:体制と評価の設計

  1. 1.基本編:オーナー・役割・優先順位・組織構造
  2. 2.評価編:目標・報酬・入力との連動(この記事)
  3. 3.育成編:スキル・内製と外部・体制の進化

問い

入力がされない、引き継ぎが雑になる。そうした現場の行動を、「意識が低い」と見る前に、いまの評価と報酬でその行動が一番得になっていないか、確かめてみてください。

この記事は、営業の仕組みを8つの要素で整理したナレッジベースの一部です。全体像は仕組みの設計:8つの要素にまとめています。自社の状態は仕組みの自己診断(40問・登録不要)で確かめられます。

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